独自データ・試算/分析
マウスとショートカットは何秒違う?
『ショートカットは速い』と言われますが、すべての操作で同じ秒数が短縮されるわけではありません。ここでは実測値を装わず、操作時間の研究モデルを使って、差が生まれる仕組みを計算します。
計算を再現するための前提
ショートカットはキー操作2回として0.2秒×2=0.4秒、手がマウス上にある場合はポインティング1.1秒+クリック0.2秒=1.3秒、手がキーボード上にある場合はさらに入力装置間の移動0.4秒を加えて1.7秒としました。
この比較では両方に共通する思考時間を相殺しています。公開JSONには使用した演算子、式、結果、除外した要因を記録しており、数値だけを変更せず再計算できます。
KLMは熟練者の定型操作を予測するモデル
Keystroke-Level Model(KLM)は、キー入力、マウスで対象を指す動き、手をキーボードからマウスへ移す動きなどを分解し、熟練者が定型作業を行う時間を予測する方法です。1980年にCard、Moran、Newellが発表しました。
原論文の代表値では、平均的に熟練したタイピストのキーまたはボタン操作を0.2秒、画面上の対象を指す操作を1.1秒、手を別の入力装置へ移す操作を0.4秒と置いています。これは現代の全利用者にそのまま当てはまる実測値ではなく、比較のためのモデル値です。
一つの命令を呼び出す単純な比較
両方の方法に共通する『何をするか考える時間』は相殺し、物理操作だけを比べます。
| 方法 | モデル上の操作 | 予測時間 |
|---|---|---|
| キーボード | 修飾キー+文字キー=2回のキー操作 | 約0.4秒 |
| マウス(手がキーボード上) | マウスへ移動+対象を指す+クリック | 約1.7秒 |
| マウス(すでに手がマウス上) | 対象を指す+クリック | 約1.3秒 |
モデル上の差は約0.9〜1.3秒
上の条件では、ショートカットはマウス操作より約0.9〜1.3秒短い予測になります。メニューを開いてさらに項目を選ぶ場合はマウス側の操作が増え、差が広がる可能性があります。反対に、キーを思い出せず迷う場合や、すでに目的のボタン上にポインターがある場合は差が小さくなります。
大切なのは『どの操作でも必ず1.3秒短縮できる』と断定しないことです。KLMはエラー、学習時間、疲労、個人差、システムの待ち時間をすべて表すものではありません。
速さは一回より繰り返しで効く
一回の差は小さく見えますが、コピー、貼り付け、保存、検索などを一日に何度も行うと積み上がります。
ただし、ほとんど使わない複雑なショートカットを覚える時間まで含めると、必ずしも得になるとは限りません。頻度の高い操作から選ぶことが重要です。
参考資料
歴史的な事実や現在の操作は、以下の公開資料を確認して記述しています。
- The Keystroke-Level Model for User Performance Time with Interactive SystemsCard, Moran and Newell / Communications of the ACMKLMの原論文と代表的な操作時間
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